TPPはいつから実施?関税撤廃の影響とメリットやデメリットをわかりやすく解説
TPP(環太平洋経済連携協定交渉)が合意しました。
TPPというと、何となく「農作物に関係するもの?」
って思うかもしれませんが、農作物だけはなく、工業製品、お酒、
サービスなど多岐にわたり、その数全部で9,018品目にもなります。
では、TPPはいつから実施されるのでしょうか?
関税撤廃の影響は?メリットとデメリットも説明していきます。
TPPはいつから実施?
現段階ではTPPは各国の代表が会議で話し合って、
合意に至った状態です。実施はされていません。
この合意に至った内容を、各代表は自分の国に持ち帰り、
国会の承認を得る必要があります。
さらに、承認を得てから批准手続き(ひじゅんてつづき:国家の最終的な決定)
になります。
批准手続きが決定するまでには2年の猶予が与えられています。
ですので、各国ですべて承認されて批准手続きが終われば、
2016年度からTPPが実施(発効)されることも考えられますが、
難航する場合も考えられます。
承認されない国が出て来た場合、残りの承認が出た国で、
GDPの合計が85%以上を占める6カ国以上が批准手続きをすれば、
TPPは実施されることに決定しています。
ですが、当然、承認されなかった国はTPPには参加しないことになりますので、
その国の生産物の輸出、輸入に関しては関係が無くなってしまいます。
日本での承認は2016年度の政府予算成立後の4月以降になる予定です。
結論は、TPPが実施されるのは早ければ2016年度中で、
遅ければ2017年度末、ずれ込んだ場合は2018年度と言えるでしょう。
TPPで関税撤廃による影響は?
まずは、関税というものがどういうものなのか?
ということをわかりやすく説明します。
すごく簡単に言うと、関税は「日本を守るためのもの」です。
僕が大好きなマグロを例に説明してみますね。
国産のマグロは500円で食べることが出来たとします。
ところが、輸入品のものはもっと安く、300円で買うことが出来るのです。
すると、みんな安い方のマグロを買ってしまうので、
国産のマグロは売れなくなってしまいます。
これでは国内の産業が衰退していってしまいますね?
結果として国力の低下につながり、失業する人も出て来てしまいます。
そうならないように、輸入品のマグロには
値段を上乗せして、国産のマグロと差がないようにしているのです。
この上乗せした値段が「関税」です
もうちょっと具体的に数字を入れて説明します。
さきほどのマグロに150円の関税をかけると、
300+150=450円になりますよね。
そうすると国産のマグロ500円との差は50円となり、
差が少なくなります。
これで、輸入品ばかり売れてしまうということを防げますね。
このように、関税は国内の産業を守っているのです。
これは外国の立場でも同じことをしているのです。
日本が輸出したものには関税がかけられていて、
日本で販売している値段よりも高くなっています。
この関税が撤廃されるということは、
経済が自由化していくということになります。
それによる具体的なメリット、デメリットを説明していきますね。
TPPのメリットとデメリットは?
TPPに関してはのメリット、デメリットは簡単には言えません。
なぜなら、立場によって損得が違うからです。
例えば、先ほどの話でマグロの例を上げました。
ここで、日本人には二つの立場があります。それは、
- 消費者
- 生産者
です。
安いマグロが輸入されて喜ぶのは僕のような消費者です。
安くて美味しいマグロを食べれるならラッキーですよね。
一方、生産者にしてみると、商売にライバルが現れるわけです。
今までのように販売するためには、もっと安くしなければならなくなる。
こう考えると、消費者にとってはメリットでも、
生産者にとってはデメリットなこともあるわけです。
では、それとは別に、国単位で見るメリット、デメリットを見てみましょう。
メリットは輸出品の関税がほぼ撤廃されるということ。
アメリカやオーストラリアがかけている日本の商品について
かかっている関税が99%~100%撤廃されることが決まりました。
これにより、輸出に追い風になります。
撤廃は即時ではなく、TPPが発効されてから、
時間をかけて徐々に下げていく仕組みです。
例えば、アメリカに輸出している車は現在2.5%かかっています。
この関税がは25年かけて下げていくわけです。
随分時間をかけますよね~。
中には、即時に撤廃されるものもあります。
それは、シェービングフォームとかプラスチック製品、ビデオカメラ等ですね。
デメリットは食料自給率の低下です。
輸入に頼るところが多くなると、相手国が不作になってしまった時に、
日本も食料不足になる危険性もあります。
また、商品の値下がりが進みデフレになってしまうことも考えられます。
世の中のデフレが進むと、商品だけじゃなく給料も下がってしまいます。
そうなると、失業してしまう人も出てくるのです。
まとめ
おそらく、TPPは実施されることになるでしょう。
メリット・デメリットはどちらもありますが、考え方を転換して、
なにごとも良い方向に考えていく、ということが大切だと思います。
TPPの実施を飛躍の機会として捉えて、さまざまなアイデアを出し、
みんなが幸せになれる世の中になるといいですね。
タグ:国際関係
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tppに関しましてのご説明文を拝読させて頂きました、ありがとうございました。しかし、どうも今一つ理解出来ないのです。それは承認された輸出国、輸入国の政府利益がゼロに近くなりますよね!今まで利益が有ったものをなぜ、捨ててしまってまでもtppを進展させる必要が有るのか、全く解りません。この所をお教え下さい。
原田さん、こんにちは!
関税による政府利益が実際どれくらいあるのかというと、
日本では8742億円程度です。
意外と少ないですね。
今回のTPP交渉では、かなり日本に有利になったといわれています。
そして、政府はTPPによって輸出が増え25兆円の利益がでると
見込んでいます。
数字だけを見ると、今かかっている関税を捨てても、
将来的には大きな利益が認められるということになります。
海外のTPPに参加した国の考え方はわかりませんが、
おそらく同じように自由競争になることでメリットがある、
と考えたのではないでしょうか?
「TPPに参加しない≒アメリカさんに逆らう」と考え、仕方無く参加した国もあったかもなぁ・・・なんて私は思いました。
今は資源価格(原油価格)の暴落で踏んだり蹴ったりの総合商社ですが、TPPでは彼等も一儲けですね。